こんばんは ジェミニ(@jemininvester)です。
今日は、手術室でのCOVID-19(コロナウイルス)対策についてお話しします。
手術室看護師についても色々記事を書きたいとおもっていますが、今の話題といえばということで取り上げてみることにしました。
用語がわからない!というところがあるかもしれませんが、そういった点はツイッターで聞いていただければと思います。
感染経路について
まずは、基本的な感染経路について簡単に説明します。
- 接触感染
-
感染源(ウイルスのついている手・モノ)に直接触れることで感染する
- 飛沫感染
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咳やくしゃみ、唾液などから飛び散る飛沫を吸い込むことで感染する
- 空気感染
-
空気中に漂う粒子を吸い込むことで感染する
今回のCOVID-19では、接触感染と飛沫感染といわれていますが、エアロゾル感染の可能性も示唆されていますね。
エビデンスがまだ不明瞭なので、ここでは言及しないこととします。
手術室勤務と感染
手術室で働いていると、COVID-19の流行以前に、感染リスクの高い業務が多くあります。
- 血液や体液など感染性物質に暴露する可能性
- メスや針で切創する可能性
- 緊急手術の患者は感染症の有無が不明である
- 感染症患者(C型肝炎、B型肝炎、梅毒、HIV、結核)の手術対応
常に、感染症対策を行い業務しておりますが、結核以外は接触感染によるものです。
普段の感染症対策
毎日の業務の中での感染症対策はスタンダードプリコーションです。
- 手指消毒
- マスク
- 手袋
- 帽子
- アイシールド
- 感染症患者症例後のユニフォームの交換
汗を除く血液、体液、排泄物、分泌物、粘膜、傷のある皮膚は感染性物質であると考え対応すること
COVID-19患者の手術ってあるの?
基本的には、COVID-19陽性患者の手術を行うことはありません。
COVID-19の治療のために入院している患者の緊急手術の場合は実施されると思いますが、今のところは経験がないです。
じゃあ、COVID-19対応するってこともないんじゃないの?
発熱患者の手術は、COVID-19疑いとして取り扱われることになっていて、感染症対策をするよ
実際に行ったCOVID-19感染対策対応
スタンダードプリコーションは常に行っているものとします。
~緊急事態宣言中頃
発熱患者(37.5度以上)の手術を実施する場合は、予定緊急問わず挿管抜管時のエアロゾル感染予防として
- 麻酔科医:N95マスク・エプロン・アイシールド着用
- 外回り看護師:N95マスク着用・エプロン・アイシールド着用
- 器械出し看護師、外科医は、挿管抜管時は手術室から退室し、N95マスク着用の2名で実施する。
- 実施後15分間は、室内空気循環のため入退室禁止。
- 15分経過後からは、サージカルマスクで対応可。
予定の発熱患者の手術を実施するの!?
という点がそもそもあるのですが、骨折や炎症などによる発熱の場合は手術施行されることが多くそういったケースでも上記対応をしなければなりませんでした。
スタッフたちも、「コロナじゃないだろうけど、一応ね。本物が来た時のための練習」という雰囲気はありました。
また、医師への周知徹底が難しく、挿管した途端にN95マスクを外す先生がいたり、15分たっていないのに外科医が入室してきたりなどもありました。
実際に、COVID-19対応をした患者が術後COVID-19陽性であったケースはなかったためよかったですが、、。
何よりN95マスクって苦しいですから、手術中はサージカルマスクで業務できるというのはかなり楽でした。
結核疑い患者の手術で4時間N95マスクつけた時は、鼻に褥瘡できかけたからね。。本当つらいんだよ。
発熱患者全員に対して上記対応だったため、緊急手術などは概ね該当し私も3例ほど経験をしました。
3月頃よりN95マスクやアイシールドは欠品が続き、再利用せざるを得ない状況でした。
N95マスクの表面が汚れないようにとサージカルマスクも着用していました。
ビニールエプロンや、手袋、手術用ガウン、消毒用アルコールなども院内在庫のみで補充目途が立たない時期もありました。
そして、麻酔器の回路も供給ストップという必要物品の不足が相次いでいました。
緊急事態宣言解除後頃~現在
挿管抜管に伴うエアロゾルの発生だけでなく、手術中の電気メス使用や腹腔鏡の気腹・排煙などによるサージカルスモークも感染の可能性があると感染対策に変更がありました。*エビデンスはよくわかりません。
- 手術にかかわるスタッフ全員がN95マスクを手術前~手術終了時まで着用する
- 手術中の手術室の出入りも極力禁止
- 電気メスは排煙装置を付ける
術中もずっとN95マスクつけるのか。
とみんな動揺しましたが、COVID-19対応をする患者選定にも変更がありました。
発熱37.5度以上の患者
- 予定手術は原則延期
- 手術実施する場合は、胸部CTを実施し肺炎の疑いがなければ通常対応で可
- 胸部CTにて肺炎の疑いがある、感冒症状ありの場合はCOVID-19対応
この変更により、COVID-19対応を行う事例はかなり少なくなりました。
私も変更後の対応はしていません。
現状上記対応が継続されていますが、以前よりはCOVID-19疑いの患者が減少し通常の手術室運営に戻っているように感じます。
他院での対応
ほかの手術室で働く友人の施設では、現在すべての手術において
- 麻酔科医:N95マスク着用
- 外回り看護師:N95マスク着用
- 挿管抜管時は、上記2名のみで行う
- 他スタッフは手術室外で待機とし、挿管抜管終了後はすぐに入室可能
- 術中はすべてのスタッフがサージカルマスクで可
としているそうです。
皆様の施設ではどのような対応をされていますか?
COVID-19対応による影響
日頃から感染対策をしている私たち手術室看護師ですが、COVID-19対応が始まりスタッフ全体の感染予防に対する意識は向上したと感じています。
これは、看護師よりも麻酔科医のアルコール消毒による手指消毒の頻度は格段と上がっているのを感じます。
挿管抜管や吸引、胃管、咽頭温など気道の分泌物との接触が多いことからと考えます。
病棟と違い、一度に何人もの患者を対応することがないので、手術室看護師は手指消毒がおろそかになりがちだと思います。
スタンダードプリコーションの意味でも、手指消毒の徹底はするべきです。
目に見える汚染(血液が付く)も多いので、アルコールでの手指消毒というよりは、流水による手指消毒が多いですが、手袋をはずしたら汚れていなくても手指消毒は必須です。
器械出し看護師は、アイシールド着用が徹底していましたが、外回り看護師はあまり徹底されていませんでした。
外回り看護師は、ガーゼカウント時などに血液暴露する可能性が高いと言われていますが、術野に近いことが少ない分つけていないスタッフが多かったです。
ですが、挿管抜管介助は外回りがメインのため、アイシールド着用するようになり、術中も着用し続けています。
麻酔科医においては、アイシールド着用することが今まではほぼ0でしたが、今は率先して着用しています。
スタンダードプリコーションにもアイシールド着用は有効ですので、継続するといいなと思っています。
おかげで、アイシールド足りないんですけどね(笑)
まとめ
私が体験した手術室でのCOVID-19対応について書いてみました。
飛沫感染なのか、エアロゾル感染なのか、空気感染なのか
サージカルスモークや血液、排せつ物からの感染があるのかどうか
など、不明瞭な部分が多くあり、感染対策が決まり切らない印象を受けます。
最大限(空気感染に準ずる)の感染症対策を行えばいいという意見もあるとは思いますが、過剰な感染予防策はコストもスタッフの負担もあります。
感染経路についてのエビデンスがはっきりとし、適切な感染症対策を行えるようになってほしいなと思います。
これをきっかけに、医療者の一人一人のスタンダードプリコーションへの意識が向上し持続してほしいと思っています。
- 患者への媒介者にならない
- 自分たちを守る
どちらも大切なことです。
大変な中皆さん働いていると思いますので、感染しないように、感染させないように、通常の医療体制を維持していきましょう。
See you again!
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